第1章 childhood days
ゆっくりと目を閉じ頷くイグニール。
幼いながらに悟ってしまった現実。
それは、あまりに残酷すぎた。
チェリアーナの魂はもうここに無いんだ…
バサリと大きく風が揺らいで、イグニールが宙に浮いた。
「ナツを頼むぞ」
『は、い…』
よろめきながら、私の方を向かずに去っていくイグニールを見送れば、さらに涙が溢れ出た。
チェリアーナの頬に、自身の身体を密着させ目を閉じる。
『チェリ、アーナ…大好き、だよ』
____
目を覚ませば、そこには一面の花畑が広がっていた。
太陽の高さからしてお昼頃だろうか?
見渡せばいくつかの岩があり、その形や配置がどこか懐かしい。
ここって、私とチェリアーナが住んでいたところ?
でも、お花は咲いていたけれど、こんなに咲いていなかったし…
あの岩山は木々の生い茂る美しい山だった。
胸の奥がいつもよりじんわり暖かい。
『チェリアーナ。ここにいるんだね』
そう胸を両手で押さえて目を閉じれば、涙が静かに溢れていく。
そういえば、イグニールがナツを側にって…