第1章 childhood days
チェリアーナとイグニールのどこか柔らかい雰囲気を感じながらも、言われた通りにチェリアーナの背に飛び乗る。
もしかしてチェリアーナとイグニールは…
そう密かに予想し、舞い上がったチェリアーナの背からイグニールを見下ろせば、それは確信に変わった。
優しい瞳…
「励むのだぞ、ミア」
『は、はい!…ナツ?にも会いたいです!』
そう私が叫べば、イグニールはハハハハッと豪快に笑って飛び去って行った。
『チェリアーナ』
「どうかしたの?」
『イグニールのどこが好きなの?』
「!…その内分かるわよ」
そう美しい笑みを私の向けてそう言えば、私達の住処へ戻っていく。
ナツ…
確か、私が両親を亡くしたあの時、あの人がその名前を呼びながら焼け野原となった街を彷徨っていたっけ?
涙を流していた黒髪の男の子。
生き残っていた私を抱いて、近くの安全な場所まで私を運んでくれた彼だ。
私はその直後にチェリアーナに出会ったのだけれど…
たまたま同じ名前なだけかもしれないし、あんまり気にしなくても良いか。
そう色々考えている内に、その日、頭を使い過ぎてしまっていた私は、チェリアーナの背中で眠りについてしまっていたんだ。