第2章 dragon egg?
ナツのことをクスクス笑いながら抱きしめるミアから目が離せない。
内臓がムカムカするような不思議な感覚に苛立ちを感じる。
あぁ、ナツには敵わねぇな
恋愛感情とか、そういうものでは無いのだとしても、ミアの優先事項第一位はナツで、自分はそうじゃないんだと改めて実感する。
ギルドメンバーがナツを茶化して楽しそうにしているのを見ながら、いい気味だななんて考えた。
隣に戻ってきたミアは不思議そうにギルドメンバーを見ていて、首を傾げている。
ナツはどうしてミアがドラゴンスレイヤーに会いに行っていたことを知らないんだろう?ってか?
『ククッ、俺がみんなに黙ってようぜって言ったんだ。
かんな泣かせた罰にしようってな』
「な、泣いてなんか…!」
『ばっちり泣いてただろうが』
すかさずにそうツッコめば、彼女は一瞬目を見開いて、その瞼を伏せてしまう。
覗き込めば口元を手で押さえて、少し泣きそうになりながらも俺のことを見つめ返してくる。
頑固なくせに泣き虫なんだよなぁ
「うっ、ナツには言わないで」
『言わねーよ。
言ったら、ナツが得するだけじゃねーかよ』
そうミアには聞こえないであろう小さな声で呟いた。
少し首を傾げたミアに気付いたが、気付かないフリをして、盛り上がってるナツの周りに視線を移す。
嫉妬してる俺、ダサすぎるな、ほんと
そんな自分の情けなさに肩を落としていれば、ひょこっと顔を隣の彼女に覗き込まれる。
「グレイ、本、運ぶの手伝ってくれてありがとう」
『いいよ』
そう微笑めば満面の笑みを向けて来たミアが可愛すぎて、沈んでいた気持ちが吹き飛んでいく。
くっそ、可愛すぎる…