第1章 childhood days
そして、瞬きをしたその一瞬で、影は消え、夕方だったはずの辺りは夜になっていた。
「なんだっ!?」
『影無くなってる…』
そう辺りを2人で見回すが、先程とは打って変わって静寂に包まれていた。
一瞬で時が進んだような不思議な感覚に頭がクラクラする。
私の知ってるドラゴンの匂いも全くしなかったし…
やっぱり空振りだった?
「夢かなんかだったのか?
…つか、イグニールいねぇし、帰ろうぜ」
『そ、そうしよ!なんか怖いよここ』
「お前意外と怖がりだよな!しょうがねぇ!俺が守ってやる!」
『うぅ…』
ニヒヒッと笑うナツに胸の奥がとくんっと鳴った。
なんとなく、これはチェリアーナの気持ちでは無いような気がしてしまう。
今のナツとの距離が心地良くて、そんな事は言えないけれど。
家に着くなり、疲れ果てて2人ともそのままベッドにダイブする。
はぁ…疲れた…
ナツも疲れてるのかな…?
先程までの頼もしいナツとは少し変わって、元気の無いナツが心配になった。
「イグニールいなかったな」
!!
そうだ、ナツはイグニールの居場所を知らないんだった
いつもより寂しそうなその声に、どうにかしなきゃという使命感に駆られ、ナツの手を握る。
『絶対にいつか会える日が来るよ?…今日はもう寝よう』
「そう、だな…おやすみミア」
『うん。ナツもおやすみ』
少しだけ握り返された手にホッとしていれば、その日はいつの間にか眠りに落ちていたんだ。