第1章 childhood days
チェリアーナの背中に完全に隠れ切れている私…の中にチェリアーナが入る、という非現実的な話に"子の中に入る"という言葉の"子"は私ではないのではと思ってしまう。
…いや、でももしそうなら、チェリアーナがわざわざ私にこの話を聞かせたりはしない。
「子の中に入るということは、まだ幼い私のウェンディを1人にするということ?…心配だわ」
「私もガジルが心配だなぁ」
「最悪の場合、だ」
「もしそうなったら…私はスティングに、自分がこのバイスロギアを倒したという記憶を残そう」
「残酷ね。そんな記憶、残るかしら?」
「案ずるな」
ウェンディ、ガジル、スティング…
このドラゴン達にも、私のような教え子がいる、ということで合っているのかな。
ドラゴン達の話も、大方まとまってきた。
もしもの事態が起きた時、他のドラゴン達はそれぞれの子に何も言わず姿を消すが、チェリアーナはそれをしたくない、ということのよう。
…ある日突然居なくなってしまうなんて、そんなの悲しすぎる。
あれこれ考えている内にドラゴン達の話は進んでおり、
「話は以上か?ならばもう行くぞ」
「そうしよう。ローグが起きてしまう」
「では竜王祭で」
「あぁ」
後半の話、全然聞いてなかった…!
バサッと大きな風音が鳴り響き、次々とドラゴンが飛び立って行く。
ただ、2頭のドラゴンを残して。