第1章 childhood days
もうこうなったら止められないよね
そう思いながら立ち上がり、小走りで書庫を後にする。
ナツ、道分かってんのかな?
「ミア!すまない、止めたんだが…」
『エルザ!ありがとう…とりあえず私もオトナシの町へ急ぐね!』
「気をつけて行けよ!」
『はーい!』
ナツ、あのエルザも振り払って行っちゃったなんて…
イグニールのことになると周りが見えなくなっちゃうんだから
っていうか、ナツに全然追いつけない…!
本当にドラゴンに会っちゃった時のために使いたくなかったけれど、
『桜達、力を貸して…!』
足に魔力を込めてより早く走り岩山を登る。
もうすぐ頂上…!
あれは…ナツ…?
「ミアか?見ろよ、これ…」
『はぁ、はぁ…ぇ?…!!』
こちらを向かずに静かにそう言うナツ。
息も絶え絶えにナツの隣に立てば、
その、呼吸なんか忘れてしまうような光景に喉の奥がひゅっと鳴った。
ラクサス、本当なの…?
本当にこれ、ドラゴンの…?