第1章 childhood days
「おいミア、今日はナツと一緒じゃねぇのか?」
そう唐突に話しかけられて、ご飯を食べながら上を向けば、
『ラクサス!うん、一緒じゃない』
「ほー…お前らに教えてやろうと思ったんだけどな」
『もぐもぐ…何かあったの?』
マカオとグレイが去った後に現れたラクサスが、私の目の前の席に座った。
教える…?
「とある町にドラゴンが現れたらしいぜ」
『うそ…』
ニヤリと口角を上げたラクサスを見つめるが、本当か嘘か見分けられそうにない。
ここ数ヶ月、何の情報も無かったのに…
「まあ、ナツが帰ってきたら行ってみろよ。
オトナシの町って場所だ」
『オトナシ…?』
「あぁ。じゃあな」
『あ、ありがとう!ラクサス!』
慌ててお礼を言えば、歩き出していたラクサスは、何かを思い出したように立ち止まり、私の目の前に大きく立派な本を置いた。
その瞬間
バァァン!!
『きゃあ!…マ、マスター?』
かなり大きな本だったけれど、その大きさを上回る大きな手が、本の表紙を勢いよく覆い隠したのだ。
本、思いっきり叩いちゃったけど大丈夫…?
一瞬すぎて、表紙に女の人の絵が書いてある事くらいしか見えなかったよ…
そして、そそくさと、マスターの大きくなった手が本を掴んでどこかへと持っていってしまう。
??
『えと…ラクサス?あの本は?』
「ハハッ、お子様にはまだはえーってか?」
「ラクサスゥ!!何を考えておる!?ミアは9歳だぞ!!」
えっと、子どもは読んじゃダメってこと…?
でも、じゃあなんでラクサスは…
そう考えていれば、ラクサスはマスターに奥の部屋に連れ去られ再び1人になる。
こんな大人の会話があったとも知らずに。
「いずれミアに見せないといけない本だぜ?
桜竜についての記録が載ってた。その滅竜魔導士についてもな」
「どういうことじゃ」
「桜の滅竜魔導士には発作が付きものらしい。このページ、読んでみてくれよ」
「………これは!!なんじゃと!!」