第1章 childhood days
あくびをしながら仕事先からギルドへの帰り道を歩く。
結構時間かかっちまったなぁ
早くギルドで飯食いてぇ
そう少し歩く速度を早めれば、かなり前方に桜色の浮かぶ絨毯が目に入った。
ミアとナツか…?
走って近付けば、その予想は的中しておりミアの肩を軽く叩いた。
「グレイ…!」
『そっちも仕事帰りか?お疲れ』
「ありがとう!グレイもお疲れ様!」
そう綺麗な笑顔を作るミアに鼓動が早まり、別の場所に視線を移す。
「つか、コイツ、また寝てんのかよ。ほっといて帰ればいいだろうが」
『さっきまでは起きてたんだけどなぁ』
そう楽しそうに笑うミアに、つい視線が戻って手が汗ばんだ。
淡い黄緑色のフォーマルなドレスに、いつも下ろしているカールのかかった髪は後ろで1つにまとめられている。
くそ可愛い…!
そう思いながらミアを見つめていれば、不意に目が合って、思わず思いっきり違う方向を向き直す。
やってしまったと思った時にはもう遅く、ちらりと横目で見た彼女は寂しそうな表情を浮かべていた。
『わ、わりぃ…今日のかんな、可愛いな』
「あ、ありがとう?」
そう少し照れる表情に鼓動がさらに早くなる。
「結婚式の依頼だったから、服貰っちゃった」
まずい。
他の奴なら会話に困ることも、悩むことも無いのに…もう頭がぐちゃぐちゃだ。
この行き場の無い、どうしようもない感情に身体中が支配されて、叫びだしたい。