第1章 childhood days
もう食べれないというナツを横目に依頼人の方と挨拶を済ませ、帰路に着く。
ナツは相変わらず私の魔法の上で苦しそうにしており、ため息を吐いた。
『歩けなくなるまで食べないでよね』
「やっべぇ、吐きそう」
『えぇ…』
ギルドに寄ってから帰ろうかと思ったけれど、そのまま帰ろうかな?
なんて思っていれば、肩をポンっと叩かれる。
『グレイ…!』
「そっちも仕事帰りか?お疲れ」
『ありがとう!グレイもお疲れ様!』
「つか、コイツ、また寝てんのかよ。ほっといて帰ればいいだろうが」
『さっきまでは起きてたんだけどなぁ』
グレイが珍しくちゃんと服着てる…!
彼を見れば目が合って、私とは反対方向にぐるりと首を回される。
目、そらされた…!?
あからさまな、その目の逸らし方にショックを受けていると、グレイがこちらを見ないまま、口を開く。
「わ、わりぃ…今日のミア、可愛いな」
『ぇ?…あ、ありがとう?
結婚式の依頼だったから、服貰っちゃった』
「う、わーー!」
『きゃ!?えっ!?ナツ叩いた!?』
突然叫び出したグレイはなんと、私の魔法の上で寝ていたナツを思いっきり叩き、蹴り上げたのだ。
その動きが速くてよく見えなかったけれど、グレイ、顔が赤い…?
っていうか、なんで急にナツに攻撃!?
「な、なんでもねぇ!」
「おまっ!人が気持ちよく寝てんのに何すんだアホ!」