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白い彼

第1章 悲劇


それから私は海賊を見つけては殺して賞金を貰って生きてきた。

もう――

誰も信じない。信じたら殺される。
そう自分に言い聞かせていた。

そんな中、フレバンスという町に迷った。

そこである夫婦に出会った。

「君はどこの子だい?すごい怪我だ。」

「まぁほんとだ。あなた、病院連れて行ってあげましょ。」

この時の私は誰も信用してなかった。
だからものすごく睨んでいたと思う。

「離せよ、殺すぞ。」

そう脅すと前の夫婦は凄く笑顔になった。

「女の子がそんな物騒な事言ってはだめだよ。」

「そうよ、とりあえず行きましょ。」

そう言われて無理やり病院に連れていかれた。

座って待っていると、さっきの夫婦が入ってきた。

白衣を着て――

「お前ら医者だったのか。」

「とりあえず、手当するぞ〜。」

そう言って丁寧に傷を処置してくれた。
人にこんなに優しくして貰ったのは初めてだった。
それだけで泣いてしまった。

2人は戸惑いながらも話を聞こうとしてくれた。
私は意を決して話す事にした。
私の両親の事、どうやって生きてきたのか。

「シズちゃん、辛かったね。」

そう言ってハグをしてくれた。
感じた事ないけど、母親のような暖かい愛を感じだったと思う。

私は柄にもなくわんわん泣いてしまった。

「シズちゃんが良ければ家族にならないか?」

「それいい案ね!」

私はこの時何言ってるんだこのバカ夫婦と思った。

でも、悪い気はしなかった。

「いいの?私が家族で…」

「いいに決まってるじゃない、ロー!ラミ!そこで聞いてるんでしょ!」

扉から同い年くらいの男の子ともっと幼い女の子が出てきた。

「俺はロー。よろしく。」

「私はラミだよ!お姉ちゃんになるの?」

「そうよ、今日から3人兄妹!仲良くしなさいね。」

それが私とローとの出会いだった。

いつまでもこんな幸せが続くんだと思っていた。

そう、思っていた……
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