第1章 いちごたると
もらった紅茶に湯を注いでから空いている席にケーキを持って行く。雪は椅子を引いた。
寮の外はいつも真っ暗で灯りも少なく景色も平坦だが、なんとなく窓際に席を取った。
ーーあ。
と、フォークがない事気付いて座る前に席を離れる。
皿と一緒に虎杖くんたちが用意していたはずだった。見ればケーキの箱はいつの間にか片付けられている。
それなら、まとめてポットの辺りにあるか、なければスプーンでもいいか。…なんて。
考えながらぼんやりと周囲を見渡すと、やっぱりポットの横にフォークが用意されていた。フォークを手に雪は机に戻る。
「…………?」