第4章 オモチャの指輪
がごん。
と、音を立てて落ちたのは丸いカプセルではなくて三角おにぎりの形をしたプラスチック。
雪と狗巻先輩はカプセルの出入り口をふたりで凝視した。
「しおむすび」
「おにぎりですね!」
何だかドキドキする。
もしツナマヨが入っていたら、狗巻先輩とクレープデートに行けるなんて。
おにぎりのカプセルを手に取ったのは狗巻先輩だった。ペリペリとテープを剥がしていく。
雪は静かにそれを見守っていると、狗巻先輩はほんの少し雪から距離を取り、向き直って片膝を付いた。
「………??」
人も疎な道の端。
狗巻先輩は顔を上げて雪を見たかと思うと、まるで王子様のプロポーズのようにおにぎりを差し出す。
「ツナマヨ」
手に持っているのは指輪の箱…ではなくおNIぎりんぐのおにぎり形カプセル。片膝を付くそのポーズも、あからさま過ぎていつもの悪ノリだろうけれど。
雪はドキドキしながら差し出されたおにぎりを見る。
ぱかっと、音を立てて開いたそこには、
ーー赤いしわくちゃの丸があった。
まさかの1/5の確率。