第3章 Valentineday♡
「…私、ですか?」
傾げた首に、しゃけ、と頷く狗巻先輩。
「こんぶ?」
雪に向けた指先で、狗巻先輩は自分の顔を差して示す。
先輩の語彙はまだハッキリ理解出来ない。
でも、ジェスチャーや表情で何かしら伝わる事も多い。
雪はその指先をじっと見る。
雪から、狗巻先輩……、
あ。
「…探して、ました」
2年生の教室に行く時にパンダ先輩に会った。その時に狗巻先輩の居場所を尋ねた事をすっかり忘れていた。
「ツナ?」
「あ、あー…いえ。大した用事ではなくて…」
言いながら、胸がぎゅっと掴まれたように痛くなる。雪は狗巻先輩の視線に耐えられずに俯いた。