第2章 少女漫画みたいな
雪もそのキラキラしたページを見る。
ページを自ら捲った棘の顔はやはりあまり興味なさ気で、別の事を考えているようにも見えたけれど。
壁ドンはまだ先週見たばかりの回だった。
ドラマの余韻に顔がニヤける。
「これね、ドラマだとジャーーの○○くんが、ヒロインの○○ちゃんにね、」
言って顔を上げた雪。
ーーけれど、その言葉はそこで途切れる。
「…………っ?」
目の前には、もう見慣れたはずの綺麗な紫があった。アメジストのような瞳が、迷いなく真っ直ぐに雪を見ている。
ドクン、とまたひとつ大きく心臓が跳ねた。