第2章 少女漫画みたいな
ギシッとベッドが軋む音に顔を上げると、棘が身体を起こしてベッドに手を付いていた。
然程広い訳でもないひとり用のベッドは、すぐにその距離を埋めた。横に膝を立てて座る。
腕をくっつけて、雪にもたれ掛かるように頭を寄せた。柔らかな髪がくすぐったく雪の耳に触れる。
細めた目元。夕方のまだ明るい陽で影が出来る長い睫毛。白い肌に、マスクをしていても綺麗に整った顔立ちがよく分かった。
何度も見ていて。
何度も触れているのに。
やっぱりこうして不意に側に来る棘にドキドキと心音が早くなる。頬が熱い。