第2章 少女漫画みたいな
「ツナツナ」
スマホを片手にラグに座り、何やら動画を見ていたその人が一段下から雪を振り返る。
手にしていたスマホをローテーブルに放った。
「ツナマヨ?」
何見てるの、と言いたげに雪を見上げる。
本は全く読まない訳でもないが、基本的には自分の部屋で読む事が多い。
続きが気になる所だけど雪はその手を止める。緩く閉じて本の表紙を棘に向けた。
「今流行りの漫画だよ。野薔薇ちゃんが貸してくれたの。少女漫画。知ってる?」
半分くらい読み進めた所だった。
「おかか」
棘は首を振った。
あと半分を読んだら手持ちはお終い。書店に並ぶ最新巻は雪の記憶では確かここまでだったはず。
「明太子?」
「うん。この漫画すごいきゅんきゅんするの。久しぶりに少女漫画読むとやっぱり面白い!」
はぁーと、余韻のため息を吐いて今見ていたページをもう一度眺めた。
黒髪のヒロインと、白抜きの髪の美少年。くっつきそうでくっつかないこの意地らしいきゅんきゅんが堪んないのよね。
…なんて。