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【OP】さよなら、My Dear

第4章 友の訃報


ロシナンテはどこだろう。
久しぶりに会えたら何を話そう。背はまた伸びているだろうか。パン嫌いは克服していないだろうな。ドジは少しでもマシになっているといいんだが。
マルーは久しぶりに戻った本部の通路を歩きながらそんなことを考えていた。
もう何年も会っていない友人の顔が見たい。一緒に飯を食いたい。夜が更けるまでお喋りがしたい。
あと、ナギナギは暗殺や潜入に向いてるぞと教えてやりたい。マルーが勤務先で駆けずり回っているとき、ロシナンテの無音の能力があればと思うことが何度かあった。
五感のうちの1つを奪えるのはなかなか強い。地味なのは否定できないままだが、役に立たないと言ったのは撤回しておきたかった。
『(……まあ、ロシナンテも馬鹿じゃないからとっくに気付いているか)』
何年も経っているのだし、きっと自分の助言など必要ないほどに有効活用できているはずだ。
すでに任務を終えて帰還しているかもしれない同僚の姿を探してマルーは本部内を粗方歩き回るが、それらしい男は居なかった。
まだ前の任務が終わっていないのか。それとも次の仕事を与えられ本部には居ないのか。
少し寂しくなりながら自分の仕事に戻った。





数日後、長期任務に関する提出物を持ってマルーはセンゴクのいる部屋に向かった。
『センゴク大しょ……あッ、いや失礼しました。センゴク元帥』
「マルー中佐か。入ってくれ」
マルーが不在の間に人事に動きがあったようだ。本部勤めだったときは大将だったセンゴクは昇格し、等級が海軍総大将である元帥になっていた。
『センゴク元帥、お久しぶりです。書類を提出しに来ました』
「おお、直接持ってきたのか。受け取ろう」
優しくも厳格な顔付きは以前と変わらないが、少し老けたように見える。元帥という立場になったのだから大将のときよりもずっと大変になってしまったのだろう。
手を差し出すセンゴクに書類を渡したマルーは、少しだけまごついてから本題に入った。
『あの……センゴク元帥。ロシナンテはお元気ですか?』
ロシナンテの直属の上官であるセンゴクなら現状は知っているだろう。
本部に戻っているだとか、今は別の地域で任務を全うしているだとかの返事がほしくて問いかけたマルーだが、センゴクが少し俯いて黙ってしまったのを見て嫌な予感がした。
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