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【OP】さよなら、My Dear

第7章 おまけ


『ロシナンテ、お前はじっとしてろ。間違っても立ち上がるな』
歩き回って転んだりしたらアメーバで密閉した傷が一気に開いてしまう。ドジを警戒してマルーはロシナンテにそう念押しする。
出帆の準備をしようと振り返ると、いつの間にかミニオン島に巨大な半球状の何かが出現しているのが見えた。
『何だあれ!?』
驚いてマルーが声を上げると、ロシナンテが島を囲む檻のようなそれを眺めながら答える。
「多分……おれの兄の能力だ。よかった……あれの内側に居たら何されるか分かったもんじゃない」
『ああ、件のドンキホーテファミリーの……? ずいぶん物騒な保護じゃないか』
この前の通信でロシナンテの潜入先について最近勢力を伸ばしつつある危険な海賊団だということと、そのボスがロシナンテの実の兄だということをざっくり聞いていた。
海賊というのは血の繋がった人間にすら容赦のない奴らなのだろうか?
寒気を覚えたマルーは一刻も早く島を離れようと準備を急いだ。
『よし、出航だ! 危ないからローは船内に入ってろ。ロシナンテは……マストにしがみついてろ! 海に落ちるなよ!』
操舵室からマルーが声を張り上げる。ロシナンテを抱えて船内に運ぶ余裕が今はない。
さっき島で背負ったのも火事場の馬鹿力めいたものだったようで、仕方なくマストに居てもらうことにした。
シケもなく順調に航行していると、ロシナンテが話しかけてきた。
「すまんがマルー、しばらく行ったらおれ達を適当な島で降ろしてくれ。このままじゃお前までお尋ね者になっちまう」
奪った悪魔の実は海軍と海賊が取引する予定だったものだ。
既に実の能力はローのものになっているが、落とし前をつけさせるために海軍がロシナンテたちを犯罪者として追いかけてくるはずだ。
3週間前のようにロシナンテはやはりマルーを巻き込ませまいとそんな提案をしてくる。
『あー……その話だが、私も既にお尋ね者だ。この船、連絡受けたときに滞在してた支部から勝手に盗んできたものでな。軍艦泥棒の脱走兵として追われながらここまで駆け付けてきた』
マルーが下を指差しながら言う。今乗っているパドル付き小型軍艦で凪の帯と偉大なる航路を突っ切って西の海から北の海まで辿り着いたのだ。
色々あったが北の海に着く前に追っ手を振り切れてよかった。
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