第16章 自覚は本人の前で
「え……?」
「だってこれ、実質告白してるようなもんでしょ」
彼の口元は手で隠れているけれど、指の隙間から見える口は弧を描いていた。
告白。告白……?
「あ」
私の言う『症状』は、所謂恋の病というやつで。
それを、あろう事か鳥束くん本人に言ってしまった。
告白と捉えられてもおかしくないし、事実これは告白のようなものだ。
「し、仕切り直させてぇ!」
鳥束くんの返事も聞かず、私はまるでもう一度気持ちを伝えるつもりのような事を叫び駆け出した。
明日からどんな顔をして鳥束くんに会えばいいんだろう。
家に帰宅した私は自室でクッションを抱え、しばらく悶えていた。
恋は、私が抱えるには余りにも大きすぎたようだ。
これからの事を考えて、私はため息を吐く。
そのため息は熱っぽくて、私は恋の病なんて言われる所以を実感したのだった。