第10章 彼女曰く、悪夢は二日連続で見るらしい
時刻は十一時。
まだ早いような気もするが、明日も平日だ。
名前さんが上手く寝られない可能性に備えて、俺たちはもう眠る事にした。
名前さんの部屋に移動する。
「どうぞ、入って」
俺の半歩先を歩く名前さんが、部屋の扉を開けながら振り返った。
「は、はい……」
自分で言い出した事だが、凄く緊張してきた。
ごくりと喉を鳴らしながら、俺は部屋に入る。
名前さんは、いつの間にかベッドに寝転んでいた。俺もそれに続く。
至近距離にいる、寝転んだ名前さん。
名前さんは眠いのか、うつらうつらとしていた。
「零太くんがいてくれて、心強いな」
柔らかに微笑む彼女を見ていると、いつの間にか緊張は解れていた。
「きっと、いい夢見れますよ」
俺は名前さんの頭を撫でながら言う。
「うん……」
名前さんは目を閉じた。俺の服の裾をきゅっと握る。そんな名前さんが愛おしい。
「おやすみなさい、名前さん」
俺は彼女の背中に腕を回してから、眠りに落ちた。