第8章 せっかくならバンダナをつけてみよう
「あー、髪と目の色で似てるって思っただけっスよ」
慌てて補足をする零太くん。
私が嫌がっているとでも思ったのだろうか。全然そんな事はないのに。
似てる……あ、そうだ!
いい事を思いついた。
「ねぇ、ちょっとバンダナ貸してくれる?」
「えっ?ㅤいいっスけど……どうするんスか?」
零太くんは、バンダナを外して私に貸してくれた。
私は受け取ったバンダナをつける。
「これでおそろい!ㅤ……なんてね」
あ、これ、思っていたより恥ずかしいかも。
零太くんはポカンとした後、手で自分の顔を覆った。
「……可愛い……」
深く息を吐いて、小さく呟く零太くん。
何だか、彼のどこかに刺さったっぽいな。
「名前さん」
ガシッと肩を掴まれる。
「バンダナ貸すんで、今日はこのまま過ごしてください」
「えっ」
「ほらほら、もう休憩時間終わっちゃいますよ!ㅤ教室に戻った戻った!」
「えっ、え?」
掴んだ肩をくるりと回転させられて、背中を押される。
「じゃあ、また後でね……?」
控えめに手を振ると、零太くんはにこりと笑った。
いきなり髪と瞳の色が変わるなんて、びっくりしたけれど。
まぁ……たまになら、こういうのもありかもしれない。
この後教室に戻ったら、斉木くんと目が合った。
私の姿から零太くんを連想したのか、斉木くんに顔を顰められたのは、また別の話だ。