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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第5章 優しさに触れ


私は、パーカーを手に持ちながらバスに乗った。

海に入っていないからあまり濡れていないとはいえ、私がさっきまで着ていた水着と一緒のカバンに、借りた物を入れるのには抵抗がある。

宿に戻ったら、パーカーは大きいカバンに入れておこう。



バスが動き出す。

私は、ふと窓を見遣った。

夕日のさす海はとても綺麗で、この景色を見られただけでも、修学旅行で沖縄に来れて良かったなと思える。
それと同時に、少ししんみりとした気持ちになった。
夕日を見ると、何だか切なくなってしまう。

パーカーを持つ手に、力がこもった。

これを返す頃には、もう学校に戻って来ている。

この二泊三日で何があったのか、とか。

こんな楽しい思い出が出来た、とか。

それを、クラスは違うけれど──いや、違うからこそなのかもしれない。
鳥束くんにパーカーを返す時には、お礼だけじゃなくて、色んな話をしたいな。

二日目にしては、センチメンタルすぎるけれど──。

まだまだ続く修学旅行、その三日目に思いを馳せつつ。
私は、そんな事を考えるのであった。
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