第33章 デカめのプレゼントボックスには気をつけた方がいい
見つかったか……。
「…………人がいる感を出したくて……本を積んでみた…………というか……」
自分で言っていて意味が分からないが、声に出してしまったものは取り消せない。
弟は「そっか……」と申し訳なさそうな顔をして部屋の扉を閉めた。可哀想な奴だと思われたな、これ……。
弟の足音が遠ざかる。
うん、もう、良いよね……。
「あああああ!」
私は頭を抱えてシャウトした。何であんな言い訳を言っちゃったんだろう! あれじゃ寂しい奴──というよりも変人じゃんかぁ!
「……名前さん」
私が変人になってしまった原因が、私の名前を呼びながらゆっくりと毛布から顔を出す。
原因、改め鳥束は鼻血を出していた。
「正直、名前さんの家に行ってからはノープランだったんスけど……まさか、俺がプレゼントをもらえるなんて思わなかったっス……!」
ぜぇぜぇと息を荒らげ、興奮している事を隠そうともしていない鳥束は、毛布をぎゅうっと握りしめていた。
「──」
私はさっき、ベッドの中に隠れる状況を修学旅行のようだと思ったけれど。それとは違う事がひとつある。
このベッド、私の私物だ──!
「鼻血出さないで! 出てそこからぁ!」
「お、名前さん、倒置法スか?」
「あ゙あ゙あ゙あ゙!!」
私の叫び声が部屋に響き──同時に、バァン! と大きな音を立てて部屋の扉が開いた。
「姉ちゃんうるさい! ……は?」
「え」
「やべ」
毛布を引っ張る私と、それに抵抗する鳥束。それを目撃した弟。
目を丸くし、次いで息を大きく吸う弟。
やばい、と思った。
「待って、それだけは──」
私の情けない言葉も虚しく。
「母さーん! 父さーん!」
弟の大声が部屋に響き、それがリビングにいる両親にも聞こえてしまった事を私は悟る。
ドタバタと騒がしい足音が次第に大きくなってきた。
「……あー、その……ごめんなさい、っス」
苦笑いを浮かべる鳥束に、私は──。
「クーリングオフ! クーリングオフ!」
ここにはいない斉木サンタに届いてほしいと願いながら、そう叫ぶのだった──。