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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第31章 それは後の


優しく押し倒されて、身体がベッドに沈む。

彼女は、ゆったりとした動作で馬乗りになり、そして──




鳥束零太は目を覚ました。

見覚えのある天井が視界に映る。緩く頭を傾けるが──隣には誰もいない。
ならば、さっきまでの出来事は──夢か。

妖艶な笑みを浮かべ、自身の肌に触れてきた彼女。リアリティのあるそれは、しかし現実に起こった事ではないらしい。
夢の中の彼女の生々しい唇の感触を思い出し、身体が熱くなった。

むくりと起き上がる。

先程からずっと、頭の中で夢の内容を回想してしまっていた。

(あーこれ、やべぇかも……)

頭を振っても、何の意味もない。見た夢が、ぐるぐると脳内を駆け巡る。

やけにしっかりと覚えている夢。普段であれば喜んでいただろう。
しかし、これから数十分後。彼女と共に登校するのに、こんな夢を見てしまったら──どんな顔をして、彼女の隣を歩けばいいのだろうか?

恥ずかしくて、顔を見る事が出来なさそうだ。会話も、上手く出来ないかもしれない。

頬を触ってみると、とても熱くて。
鳥束零太は、ため息を吐いた。
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