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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第28章 関Ψ弁少女と霊能力者


黒板に名前を書いてから、彼女は教卓の前に移動した。

「苗字名前です。大阪府から来ました。よろしくお願いします」

教室に拍手が響く。パチパチとしたそれは、次第にまばらになっていった。

──今日から彼女は、PK学園の生徒となる。



苗字名前。
生まれも育ちも大阪府。親の仕事の都合で引越しが決まり、S県へ越して来た。
二年の二学期というよく分からないタイミングで二年巛組の仲間入りを果たした苗字は、現在、転校生にありがちなイベントを体験している。

「ねぇ、部活なにやってた?」

「大阪って、どの辺りに住んでたの?」

何かのテレビで転校生あるあるとして、質問攻めにあう、というものが紹介されていたのを思い出す。あれは本当に『あるある』だったようだ。

──いくつか質問に答えた苗字は、トイレに行くからと言い教室を離れた。
実際には、トイレに行くつもりはない。この質問攻めから逃れたかっただけだ。

探検がてら少し廊下を歩いてから、教室に戻ろう。

つかの間の休息を手に入れた苗字は、廊下を歩き出した。
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