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【斉木楠雄のΨ難】鳥束だけの短編集

第22章 ほうきは意外に幅を取る


湊先生は先週からPK学園に来ている教育実習生だ。

+組と巛組が中心になっているらしく、彼女とは休み時間に何度か話した事がある。
名前も覚えられているわけで、つまり……。

「苗字さんも、そこで何やってるの……?」

──『鳥束と狭いロッカーの中にいる苗字さん』と捉えられてしまうのだ。

違う学年担当の先生に見つかったのならばまだ何とかなったかもしれないのになぁ! ……いや、結局ロッカーに入っていた事実は消えないから同じ事か。

「これは鳥束が無理やり」

「名前さん!」

よくよく考えてみると、私には一切非がない。
私が素直に状況を説明しようとしたところ、鳥束に遮られてしまった。鳥束ってこんな大声出せるんだな。



──後日談。

事情を話して、決して私と鳥束が如何わしい事をしていたわけではない事を湊先生に理解してもらった。
鳥束は元々呼び出されていた件に逃げた件も合わせて余計に注意を受けていたが、まあ仕方がないだろう。

「ははは、お疲れ様」

「俺、人が説教されている所を笑いながら眺めてた名前さんみたいな人間にはなりたくねーっスわ……」

いくらか元気のなさそうな鳥束。
彼のその表情を、私が忘れる事は多分ないと思う。
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