第17章 作品作りに協力してくだΨ!
開いている教室のドアから、肌寒い風が吹いてくる。
そんな寒さに耐えつつ、私はザラ紙を広げて唸っていた。
廊下に一番近い席だから、扉が開いていると寒いんだよなぁ……。
ああ、いけない。余計な事を考えてしまった。
休み時間の間に、せめて少しでも形にしないと……。
「名前さん!」
「!?」
考え事をしていたからか、名前を呼ばれてびくっとしてしまった。
声がした方を見る。
廊下に立っている鳥束くんが、教室を覗いていた。
これ、呼ばれてる……よね。
「どうしたの?」
私は席を立ち、廊下に出る。扉の前で話すのは教室を出入りしたい人の迷惑になるから、こういう気遣いが大切だ。
「国語の教科書忘れたんで貸してくれませんか!?」
「いいよ」
私は自分の席に戻り机から国語の教科書を取り出し、それを鳥束くんに手渡した。
「ありがとうございます! ……ところで名前さん、何か悩んでるんスか?」
他人から見ても、私は悩んでいるように見えていたらしい。いくら行き詰まっているにしても、教室で唸るんじゃなかったな……。
「あー……部活がね、ちょっと」