第3章 要さんは多分推しにグイグイ行くタイプ
自宅であるマンションに到着する。
「……ん?」
エレベーターを降りて廊下を歩いていると、扉の前に誰かがいる事に気がついた。
えっ誰……?
宅配便ではなさそうだ。
扉の前にいるその人は、そこから移動する気配がない。
このままでは家に入れない。
いつでも通報出来るようにスマホを装備してから、私はその人に話しかけてみる事にした。
ちょっと怖いけれど……。
ここは行くべき時だろう。
覚悟を決めて一歩を踏み出した時、扉の前にいる人がこちらを見た。
気づかれた!?ㅤ……というか、この人。
「要ユウキさん!?」
何で家の前にいるの!?
「葉月さん!ㅤ会えて良かった」
目の前に、笑顔を浮かべた要ユウキさんがいる。
「えっえっ、何で家が分かったんですか!?」
「ファンレターに書いてあったからね」
要ユウキさんは、カバンから封筒を取り出した。
そこには、私の名前が書いてあった。
確かに住所も書いた記憶がある。
ということはもしかして、私の名前と住所を一致させてここまで来たってこと?
読んでもらったのであろう嬉しさと、だとしてもここまで来るか!?ㅤという気持ちが混ざり合う。