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イケメン戦国 ✿••┈恋綴る月絵巻┈••✿

第2章 白と黒、灰と雨/中編(織田信長)






光秀からの文を受け取った後
すぐにでも動き出したい衝動を抑え
天幕でことの次第を話し始めた。



「それで御館様、顕如は一体何処に?」

「本能寺だ」

「本能寺!?」

「そこには迦羅も、居るんですね?」

「ああ、城から連れ出されたらしい」

「何て卑怯なっ…!」



卑怯か。秀吉の言う通りだな。

わざわざ本能寺を舞台に選ぶとは
手の込んだことをする。


思い起こしてみればあの日も
本能寺で俺を殺そうとしたのは顕如であった。
突然降って現れた迦羅に命を助けられたな。


俺にとってあの場所は
良くも悪くも、思い入れがあると言う訳だ。



「秀吉、家康、貴様らには共に来てもらう」

「はっ」

「政宗と三成には後始末を任せるが
 終わり次第合流しろ」

「了解」

「承知しました」

「顕如の目的はこれだったんですね」


家康は心底嫌そうな顔をして溜め息を吐く。
そうだ、今や誰もが理解しただろう。


迦羅を使えば俺たちは必ず行く。
数ではこちらが上だろうが
戦を終えたばかりで兵は疲弊している。
此処から移動するだけでも大きな負担だ。


「今のうちに皆を休ませておきましょう。
 私からお話しておきます」

「ああ、頼んだ。
 夜半には此処を出る」

「はい」






天幕を出て、外の空気を一つ吸う。

雨にはならなかったな。


見上げる空は雲行きは怪しいが
雨粒を落とすことは無かった。


……妙な気分だ。

何か、胸騒ぎがするような
いや、或いはこの湿っぽい空の所為か。



迦羅、暫しの辛抱だ。
すぐに貴様を迎えに行ってやる。






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