第2章 僕の可愛い小鳥の飼い方【五条悟】
「ま、まって……さとる……!」
「これ以上は無理。僕は、もう何年も待った」
「え……なにいっ……?!っ、あ、ああっ!」
聞き返そうとする間も無く、ぐっと開かれた足の間に悟の腰が押し進められた。刹那に強烈な圧迫感と共に内臓を押し上げられるような息苦しさを覚え、ぶちぶちぶち、と何かが破られるような鋭い痛みを全身で感じ取る。あまりの鮮烈な痛みに、静止の言葉を吐くことも許されなくなった。
「く……っ、きっつ……」
「や、いた……ああっ、あ、っ!」
声にならない声を上げながら、悟にしがみつき彼の真っ白な背に爪を立ててしまう。そうすることで裂かれるような痛みから逃れられるような気がしたのだ。
悟は小さく埋めくような声を上げながらも、奥深くまで繋がるように腰をゆっくりと進める。
溢れた涙の膜でぼやける視界を悟の指先が掬った。目を向けると蠱惑的に微笑む悟の整った顔立ちが目の前にある。
「ぜんぶ、入っちゃったね」
「え……ぁ、はいって……?」
「オマエのココまで、僕が入ってるよ。分かる?」
夢心地でありながら確かめるように呟いた悟にその場所を示すようにして腹を外部から押されると、内部から抉られた圧迫感の源と相まって鋭い悦楽が襲った。
痛みによって忘れかけていた快感が再び蘇る。二つを天秤にかけた時に傾くのは快楽の方で、悟を迎え入れたことによって与えられた痛みは一瞬にして嘘のように感じなくなる。その衝撃に耐えきれずに「あっ!」と甘い声を溢すと、悟は形を覚えさせるように静止したまま、頭を優しく撫でて額に唇を当ててくれた。それがなんだか自分の身体を貫いた悟の労いのようにも感じて、胸がジンと熱くなる。
「これで君は処女じゃなくなったね。女になったんだよ。僕の女に」
「え……?」
「どうしたの?そんな顔して。まだ実感が湧かない?」
処女ではなくなった、ということに関しては虚しさのようなものを僅かに感じたけれど、"僕の女に"という言葉の意味は理解が出来ない。互いの性器を交じ合わせたら、そこで恋人になってしまうとでもいうのだろうか。
そんなはずがないと思い戸惑いの声を溢せば、首の後ろに腕を差し込まれて頭を起こされる。