第1章 堕ちた先は快楽地獄【両面宿儺 虎杖悠仁】
______ああ、嫌われた。嫌われてしまった。
視界の片隅で微かに映る悠仁の姿を見て、美代はそう確信していた。
それもそうだろう。恋人が別の男の為すがままに、犯されているのだから。
自分がこの光景を眺めている側であれば、気が狂うだけではいられないだろう。
「おい小僧、いつまでそこで見ているつもりだ。もっと近くで見ていろ。お前の女が、俺に抱かれて悦んでいるところをな」
「や、ああっ……!みないで……っ、やだ、や、やめて……っ、もう、やめてぇ……っ!」
「よくその目で確かめてみろ。先刻まで生娘だったとは想像もつかぬような変わり様だぞ?」
悠仁をわざと煽り立てるような露骨な物言いに、必死にそれを止めようと否定の言葉を吐くことしか出来なかった。
いつの間にか自分の内側から漏れ出した熱い蜜の音と絡まって粘着質な音が聞こえているし、互いの体液が混じり合った濃密な匂いも充満し、痛みに泣くような声はいつしか甘い女の声に変わり、説得力なんて最早そこにはなかったけれど、美代はそうすることしか許されない。
この男に蹂躙されて確かな快楽を享受していることを、自分だけは否定し続けなくてはならないのだ。
「この、クソ野郎……」
「ほう、ようやく立てるようになったか。覚束ない足で何が出来るのかは知らんが……あぁ、お前も混ざるか?」
「調子に乗んなよ……!お前は絶対に俺が殺してやる……っ!」
悠仁は拘束された腕を、力任せに振り上げた。しかし、それも宿儺の指一つで払われてしまい、結局先ほどと同じような展開になる。
宿儺は一度中に入り込んだまま腰の動きを止めると、さらに足を押し開き、悠仁に接合の部分を見せびらかすようにした。
悠仁はそれを禍々しい憎悪を滲ませた目で睨みつけている。