第1章 堕ちた先は快楽地獄【両面宿儺 虎杖悠仁】
後ろを見ても、前を見ても同じ顔、同じ身体をしている二人の姿。同じ顔をしているけれど、二人の魂は別のものだと本能が訴えている。
一人は美代の最愛の彼氏で、もう一人は大切な彼氏の身体に受肉した得体の知れない悪魔だ。
人間の形をしたその悪魔に犯されながら、最愛の人の性を狩り取るように口腔で魔羅を咥えて、喘ぎを溢す。
どこからみてもおかしな光景であるのに、それがいつしか狂っていると思えなくなってしまった。
だって、気持ちが良いから。
だって、三人で愛し合った方が興奮するから。
そんな獣染みた思考回路に変えられてしまったのは、頬をねっとりと撫でるような生温い梅雨の季節が過ぎ去ろうとしている日のことだった。
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