第9章 *File.9*(R18)
「それ、反則だから」
堪らずボヤいた今のオレの顔は、きっと赤い。
瞬殺、だろう?
本当に参った。
出逢ったあの瞬間を思い出させる、無邪気でいて幸せそうな笑顔。
世界中の何処を探しても、こんなにも愛しいヒトはいない。いるわけがない。
「愛してる、雪乃」
「……」
起こさないように柔らかな身体をそっと腕の中に引き寄せると、眠っているはずなのに、絡めたままの片方の掌にそっと力が込められた。
まるでそれは、私も。と、同意を示す返事をくれたかのように。
「!」
たったそれだけのことで、胸が張り裂けそうになった。
純粋に、全てが安心感と幸福感に満たされて。
誰も見てはいないのに、それを隠すように雪乃の温もりに包まれながらゆっくりと瞼を閉じると、次第に意識が遠のく。
雪乃。
オレもキミの傍にいたい。
何があっても、どんな時も。
ずっと遠い、未来の先の向こうまで。