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*名探偵コナン* ILOVE… *諸伏景光*

第3章 *File.3*


近くで見てたのね。
この場所のことは言わなかったのに、やっぱり先回りされてた!
スマホのGPSは恐いよ!
陣平は話をしながらも、爆弾の処理をテキパキとこなしていく。

「勇敢なる警察官よ…君の勇気を称えて褒美を与えよう。もう1つのもっと大きな花火の在処のヒントを…表示するのは爆発の三秒前…健闘を祈る」

爆弾装置の電光パネルに表示された文を、陣平が読み上げた。
記憶通りの文章。
本当なら佐藤刑事と電話で話してる時間と、内容だ。

「米花中央病院」
「うん」

良かった、間に合って。

「松田、問題はないから、解体していいよ」
「一体どういうことだ?!」

振り返った陣平が、声を上げた。

「私が読んだ、物語の記憶」
「雪乃自身も半信半疑だったけど、今朝頼まれてオレとゼロで動いた」
「…ゼロと?」
「初動捜査は二人で。そしたら本当に爆弾が見つかったから、全館全室調べて、撤去完了」
「もし、お前らが来なかったら?」
「…陣平は自ら犠牲になって、大勢の民間人を助けたの」

とてもじゃないけど顔を上げることが出来ずに、座り込んだ自分の膝に、額を押し付けた。
昨日、警察学校の同期四人が萩原君のお墓参りに行ったのを確認したから、この事件は起こるのだと確信した。

「!」

ハッとした気配を感じたのは、陣平が爆弾の解体を再開したかららしい。
静かな車内で、パチン、パチンと爆弾に繋がるコードを切る音が複数回つづく。

「……っ」

直ぐ傍にいる景光が、ポンポンと髪を撫でてくれた。
よく頑張ったな。と、褒めてくれてるみたいで余計に涙が出た。


「サンキュな、雪乃」
「…でも、私は在るべき未来を変えてしまった」
「この先、雪乃が知ってる未来が来るかもしれないし、来ないかもしれない?」
「…うん」
「その時はその時だ。たった今お前に護られ助けられた生命だ。俺は絶対に無駄死にはしねぇし、また何かあるなら、協力は惜しまねえよ」
「えっ?」
「当たり前だろ」

顔を上げたら、初めて見る陣平の優しい笑顔があった。
女として、純粋に男前だと見惚れてしまう。
何で、そんなに切り替えが早いの?
私の絵空事みたいな話を、信じてくれるの?

「その為にオレ達がいるんだから」
「そういうこと」

頂上を過ぎ、ゆっくりと下りて行く観覧車で、わしゃわしゃと髪を撫でられた。


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