第2章 *File.2*
「杯戸町のショッピングモール?」
「どういうことだ?」
すぅすぅと気持ち良さげに寝息を立てる雪乃の右手から滑り落ちただろう…要するに寝落ちしたスマホのロックを解除して、二人で首を傾げる。
️「興味あったのか?」
「聞いてない、かな」
マップ画面に映るのは、此処から杯戸町のショッピングモールまでの最短ルート。
大体の買い物はついこないだ済ませたばかりなのに、まだ買い物が?
わざわざショッピングモールに、行くほどの?
「その時、が、この場所か?」
「問題は何時、だな」
「俺達の誰かが関係している、か?」
「だろうね。にしても…」
「さっきの雪乃とはまるで別人、だな」
「だね」
見下ろした雪乃の無邪気な寝顔に、さすがのゼロの表情も苦笑交じりに柔らかくなる。
「護りきれよ。援護は惜しまない」
「ああ。頼りにしてるよ、ゼロ」
スマホを元の位置に戻し、音を立てずに部屋を出た。
そうして、まもなく迎える。
オレ達がまだ何も知ることがない、松田陣平の、運命の日を…。