第2章 *File.2*
ヤキモチを妬いてるのは、オレの方。
まさか、松田があそこまでするとは思ってなかったから。
読みが甘かったな、オレも。
「絶対見てた」
「どうして?」
「だって、陣平と同じセリフ!」
「ふふっ」
じゃあ、ここも消毒しとかないと。
右手だけを自由にさせると、額にかかる茶色の柔らかな髪を避ける。
「景光?」
「ココも」
顔を上げた雪乃の額に、キスを一つ。
「ほえっ?!」
今度は顔どころか、彼女の華奢な身体中の熱が上がったのが分かる。
「可愛い」
「!!」
良かった。
雪乃から感じ取れるのは、恥ずかしいとか照れているという感情で、嫌悪感など負の感情はない。
「消毒も終わったから、お風呂に入ってくるよ」
「う、うん」
困惑する雪乃をもう一度強く抱き締めてから、お風呂へと向かった。
このまま抱き締めていたら、雪乃の気持ちも考えずに、確実に抱いてしまう。
身体を突き抜けるような抑え切れない感情が今にも溢れ出しそうだったから、理性を総動員して急いで蓋をした。
誰かを好きになって、初めてだ。
こんなにも、たった一人の女性を愛しいと思ったのは。
誰にも渡さない。
と、自分の中で、ここまで激しい独占欲を感じたのは…。
「おはよう」
「おはよ」
「右手」
「うん?」
「右手出して」
「は、い?」
「昨夜、消毒し忘れてたから」
「えっ??」