第15章 *File.15*(R18)
「この子が、雪乃?」
スマホの中にあった、満面の笑みの彼女の写真。
ゼロや松田、班長とお喋りして、楽しそうな彼女。
まさかの寝顔まで撮ってる。
普通に男の目から見て、凄く可愛い。
他は、オレと二人で映る、少し照れた様子の彼女。
何処をどう見ても、仲の良い恋人同士だ。
ゼロにあの家にしばらく帰るなと言われた時点で、安易に予想が出来た。
オレはあの家で、彼女と二人で暮らしている。
忘れてしまった側のオレよりも、忘れられた彼女の方が傷付いて、ずっと辛い。
だからゼロには、思い出さないのなら、雪乃のためにも絶対に会うな。と、釘を刺された。
どうして彼女のことだけ、忘れてしまった?
記憶を無くす前のオレには、きっと何よりも彼女は大切な存在だったはずなのに。
彼女とは何時、何処で出逢った?
いくら考えても、今のオレには何一つ思い出すことが出来ない。
「ごめん」
きっと、蹲って一人で泣いてる。
不思議と、それだけは何故か確信出来た。