第12章 *File.12*(R18)
「たまに?」
「うん。たまに」
「ウソが下手」
いや、たまにじゃないよね?
「……」
ズバッと言えば、無言で視線を逸らされた。
じゃあ、休みの日にゴロゴロ出来ない…。
「オレとの生活はストレス?」
「なんで?景光と過ごすこの時間は、私にとって何よりも一番幸せで大切な時間なのに」
「……」
また来た!
直球ど真ん中!
理想の返事ではあるけど、これは雪乃の本心そのものだと、疑う余地もない。
「…景光?」
理想の返事を求めて訊ねたオレが悪いのか?はたまた、嘘偽りない本心そのもので理想の返事をする雪乃が悪いのか?
「今から…」
「うん?」
「抱かせて」
「はぅ」
また?と、その視線が訊ねている。
「…ヤダ」
「無駄だよ。彼シャツだけでもグッと来てるのに」
風呂上がりの今は、お互いがシャツ姿だ。
「ただの、エロオヤジ?」
とうとう言われた!
しかも遠慮もなければ、容赦も無い!
「男のロマン、だよ」
「え~っ!」
愛する彼女の素肌に彼シャツ、だからね。
男にとって、これ以上のモノはないだろう?
背中を支えながらそのままそっと押し倒して、ベッドに縫いつけた。
「オレに抱かれるの、嫌?」
「…またそういうこと聞く!」
「まだまだ伝えきれてない。雪乃を想う気持ちは溢れることはあっても、止まることや減ったことは一度もないよ。もちろん、この先もずっとね」
「…景光は」
「うん?」
「私をどうしたいの?」
耳まで真っ赤だ。
「雪乃の全てを知り尽くしたい。キレイで柔らかくて温かいこの身体も、中々見せてはくれない心の奥の奥まで」
「……それで?」
「生涯、雪乃、キミをただ愛するよ」
「もうっ」
「!」
やんわりと縫いつけていた手が解かれ、ぎゅっと抱き締められる。
「幸せ過ぎておかしくなる!」
「よかった」
「私も、景光と同じこと思ってるから」
ああ、さっき、そんなことを言ってたな。
あの時は…。
色々と感情的になってたから、ごめん。
度重なるゼロへのヤキモチとか…嫉妬とか。
届いているのかいないのか分からないオレの感情だとか、隠されて見えない雪乃の感情とかでモヤモヤしてたから。