• テキストサイズ

優等生さんと不良君【東リべ夢】〘場地圭介夢〙

第2章 近づく気持ち、離れる距離




万次郎が私の膝に頭を置いて、寝転んで目を閉じている。

別に嫌とかではないけど、少しだけ恥ずかしい。

万次郎は色々凄いと関心していると、私の頬に万次郎の手が触れた。

突然何かと不思議に思って、万次郎を見るとまっすぐな目がこちらを射抜く。

「な、何?」

「って、好きな男いんの?」

突拍子もない質問に、思考が停止する。

何でそんな質問を今するんだろう。そういう話をしていたわけじゃないし、何の脈絡もない。

そう思っていたのは私だけではないようで、みんな目を点にして万次郎を見ている。

「そ、そういうの……あまり考えた事、ない、かな……」

「じゃぁ、俺と付き合う?」

「……え?」

またも突然の事に、頭が真っ白だ。

龍宮寺君と三ツ谷君が物凄い大きなため息を吐いて、松野君は目を見開いて「ええぇっ!?」と声を張り上げた。

「は、俺の事嫌いじゃないだろ?」

「あ、えと、まぁ……」

「じゃぁ、いいじゃん」

何て自由なんだろうか。勢いが凄くて、少し困ってしまう。

と、私の腕が掴まれ、グイっと引っ張られて立ち上がる。

見ると、私の空になったお弁当箱をもう片方の手に持った、場地君がいた。

「休み時間終わんぞ」

私が突然立った事で、膝から頭を落とす形になった万次郎だけど、素早く座ったのか、胡座をかいてこちらを見上げている。

「場地ー、俺今に告白してんだぞーっ! 邪魔すんなよーっ!」

「知らねぇよ。テメェはただ、を困らせてるだけだろーが、気づけ馬鹿野郎」

場地君の言葉に万次郎が「ああ?」と低く唸って立ち上がる。

場地君は、私を背中に移動させて、万次郎の前に立つ。

「やめろって、お前等。それこそコイツを困らせるって事くらい、分かるだろ」

三ツ谷君が間に入り、二人がそれぞれそっぽを向く。

何だか、私がここにいるせいで、二人が揉めるのが申し訳なくて、オロオロするしかない私の手を、場地君が掴んでそのまま屋上から連れ出された。

手を引かれるまま、私はただ場地君について歩くしかなくて。

怒っているんだろうか。場地君は黙っている。

「あ、あのっ、場地くっ……」

「お前さ、何で何も言わねぇの?」

「え?」
/ 41ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp