第2章 シキミ
あれから夏目とは他愛ない会話を楽しめる仲になった。
そもそも妖が見えるという共通の絶えない話題は話のネタにするには最適だった。お互いそうゆう関わり合いに飢えていたのだろう。
にゃんこ先生とも少しづつだが仲良くなり様々な妖の話を後日談として話すようになった。夏目はトラブルメーカーなのかよくトラブルに巻き込まれるらしい。
「三篠様。いつまで夏目に名を預けて置く御つもりですか?」
神社の裏の小道を外れ私が大好きな妖力を伝いに歩いていくと大きな沼がある。そこで三篠様とお会いすることができる。大切な場所だ。
「よ。なにか面白いことが起きそうだからな。」
「私は心配なのです。名前というのは使役するということ三篠様が」
「。我が心配か?」
心配など私がしていい立場ではないことは承知しているが、名前というのは不思議な契りのようなものだ。三篠様までいなくなってしまったら私は…
「うむ。心配する出ない。もう手は打ってある。」
「三篠様?」
言い淀んでしまった私に三篠様はいたずらを思いついたのか嬉しそうに微笑んでいた。
ゲロ。
「ぴょこ吉も三篠様が心配ではありませんか?」
アマガエルような見た目だが立派な妖で、私と同じ三篠様にお仕えしている。私よりも三篠様にお仕えしている月日が長いため大先輩なのだが、とても気さくなお方なのだ。
ぴょこ吉は私が勝手に名を付けた。
リン。リン。
鈴の音が聞こえると目を上げると三篠様の耳飾りが揺れている。
「よ、掴まりなさい。」
三篠様の手にそっと掴まると本当に瞬きをするように一瞬で全く違う風景に、飛んできた?
白い布を被った夏目がこちら不安そうに見つめていた。