第2章 ヴァンパイアパロ2
「なんでも好きなもん頼んでいいぜ」
「は、はぁ……」
目の前にいる男は、そうドヤ顔でメニューを広げた。
プリズムの中で赤と紫が乱反射しているような瞳が、ホットケーキに止まる。
お冷やに伸びる左手は、包帯が巻かれていた。
現在時刻、16時21分。
確か、彼はまだ勤務中のはずだ。
「俺はこれに決めた!」
無邪気な笑みでホットケーキ注文を決める男――ギルベルト・バイルシュミット。
メープルに、餡、ホイップクリーム……なかなかの甘々が予想される。
そんなブツとは似つかわしくない整った顔立ちに、今は、一段と――ムカついてくる。
「この前本田のおはぎ食ったんだがすっげぇうまくてよ! さすがの俺様も餡を認めざるをえなかったぜ」
「は、はぁ……」
なんでこんなことになったのだろうか……