第3章 優しく愛でて、甘く溶かして
入口に若狭の昂りがあてがわれるのが分かって、背中がゾクリとして脚を閉じそうになる。
それを許さないとでも言うように、若狭の手が脚をしっかり持って固定する。
「入れるぞ」
初めてみたいに、心臓がドキドキして、飛び出しそうで、苦しい。
どうやって男との行為をしていたのか、思い出せない。
私は、どんな態度で、どんな姿勢でいるのが正解なんだろう。
「構えなくていいっ……ただ、思うまま、自然に、感じてろ」
「ふぇ? っ、んぁあっ!」
そんなに分かりやすく、戸惑っているのが態度に出ていたのか、若狭の言葉を理解する前に、昂りが差し込まれた。
ビリビリと頭から爪先までが痺れ、まるで電気に打たれたみたいに、体を跳ねさせて達する。
こんなに気持ちいい行為、知らない。
絶頂を迎えてもなお、体の震えは止まらない。
「何……まだイってんの?」
「気持ちぃのっ……止まんなっ、ぃ……ぁ……」
硬い昂りが奥を擦り、叩くのがたまらなく気持ちよくて、自らも無意識に腰を動かしてしまう。
「それは何よりだ……っ……んっ……はぁ……」
そこまで激しく動いてるわけじゃないのに、気持ちよさがなくならなくて、もっと欲しくなる。
若狭に抱きついて、体を密着させる。
お互いの心臓の音が重なって、肌と肌がくっつく心地よさも初めて感じるもので、何故だか急に涙が出た。
「辛いか? やめるか?」
「ちがっ……ぅ……ひっ……こんなっ、にっ……幸せでっ、いいっ、のかって……っ……」
込み上げるものが止められなくて、子供みたいに泣く私の頭を優しい手が撫でる。
もう、この手を離す事は、出来そうにない。
私は、彼を失えば生きてさえいけないだろう。
「若狭……好き……好きっ……」
「ああ、俺も好きだ」
柔らかい笑みで応えて、額にキスが落ちる。
そのまま唇が塞がれ、それが深く甘いキスに変わる頃には、再び体に熱が戻っていく。
体を揺さぶられながら、握られた手をしっかり握り返す。
何度も愛を口にして、体中で愛を受け止める。
言葉は少ない人だけど、それでもこんなに気持ちが伝わってくる事に、喜びで心までも震えてしまう。
私も愛されていいんだと、幸せになっていいんだと。
そう言ってくれる。