第1章 ミステリアスな先輩
昔から男を見る目がないのか、男運が悪くて、付き合う男全てがクズばかり。
浮気男から始まり、粘着ストーカー男、DV男。
別れたらいいのにと思うけど、依存体質な私にはなかなか難しい。
母親そっくりだ。
物心ついた頃には父親はいなくて、夜の仕事をしながら母親は私を育てていた。
毎回違う男を連れて帰って来ては、その人が帰るまで外で待つ毎日。
母親に構ってもらえる事はほとんどないけど、たまに優しい人が私にお菓子をくれたりする時に見せる、優しい顔が好きで、それを自分にもっと向けて欲しくて、いい子でいる努力をした。
学校には通わせてもらっていたから、勉強だって頑張った。
そして中学に上がる頃、母親は新しい父親を連れて来て、その人はお金も持っていて優しくて、やっと私も普通の生活が出来るんだと思った。
なのに、その人との子供が出来た時から、私は空気になった。
どれだけいい子にして、勉強も頑張ったって、二人が私を見てくれる事はない。
二人の愛情は、全て妹に行っていた。
それは仕方ないと、諦め始めた頃に私は夜の街をフラつくようになった。
ありがたい事に、自分で言うのも何だけど、見た目は悪くなく産んでもらえていたから、男には困らなかった。
初めてを経験したのも、ナンパされて知り合った大学生で、父親がなかなかお金を持っていて、見た目も割と好みだったから、その人と少しの間だけ関係を持っていた。
そこから、私の男運の悪さに磨きが掛かり始める。
暴言や殴られるなんて当たり前で、彼氏の友達と複数人に輪姦されるのなんて珍しい事じゃなかった。
それでも、私にはそこしか居場所がなかったから、彼氏が変わっても男運の悪さは変わらなかった為、その度に辛くなっても耐えて耐えて、諦める事も覚えた。
家では問題児扱いだったから、寮がある今の高校に入れられる事が勝手に決まっていた。
正直、いい子だった頃の努力があったから、頭は悪くなかったから、高校にはスムーズに入れたのはよかった事なのだろう。
そしてそこで、私は運命の人に会う。
高校に入学してすぐに告白されて、知らないけど付き合った優しい彼氏。
優し“かった”彼氏。
相変わらず殴られて無理矢理服を脱がされながら、心で笑う。