第1章 勧誘という名の強制連行
「…ということで、君には強化指定選手のメンタルケアを主にその他手伝いを頼む。」
『えっと…つまり、どういうことでしょうか?』
新入社員として働くべく、本日も会社まで来たのはいいけど出社して急に呼び出された挙げ句何やらよくわからない話をされた。
まずこの人は誰。痩せ型のおかっぱメガネ。こんな人はこの会社にはいなかった筈。
青い監獄(ブルーロック)とか何とか…。
ちょっと待て。サッカーって言った?私はサッカーなんてやったこともないし、知識も全くない。
『いろいろ聞きたいことがあります。』
「却下だ。返事ははい。これ以外の返答は求めない。」
『なっ…。』
何て人なの。質問くらいしたっていいじゃない。
「もう!絵心さん!
そんな勧誘じゃあ乗ってくれませんよ!」
「ならアンリちゃん、君が説明するといい。
俺には向いてないからね。」
おかっぱメガネの斜め後ろで待機していた私と歳が近そうな女性が、前に出て話し始める。
「初めまして小城陽菜さん。
まずは自己紹介ですね!私は帝襟アンリ。日本フットボール連合の職員です。こちらは絵心甚八さん。」
丁寧に自己紹介をしてくれた。痩せメガネは絵心という名前らしい。
フットボール連合がなぜ私に…。
「W杯優勝のために有力コーチとして、絵心さんは雇われてます。
私たちは日本のサッカーに革命を起こすために、ブルーロックという施設を立ち上げ世界一のストライカーを誕生させるべく活動をしています。」
『…それと私に何の関係が…?』
「君のことは調べさせてもらっている。
中高とバスケットボール部マネージャーを務め、チームメンバーのメンタルケアを行うという、学生のマネージャーでは成せない偉業を果たしその上全国優勝まで導いた。」
『そんな情報何処で…。
…確かに私はバスケットボール部のマネージャーを務めていました。そして全国優勝をしているのも事実です。
しかし!それは選手達の努力であって私ではありません。』
「…ふん。謙遜はいらない。
全国優勝をしたという事実。そしてそれはメンタルケアを欠かさず行ったお前の功績。それ以外に言うことは何もないよ。
ブルーロックプロジェクトにはお前が必要不可欠だ。
ノーは聞かない。答えはイエス。それだけだ。」