第4章 「り」
面談室へ田口先生に案内してもらい
中に入るとそこにはまったく知らない
スーツ姿の男性がいた。
「ああ。君があいちゃんだね。授業よりこっちを優先させてしまって申し訳ない。実は君にあって聞きたいことがあったから今日、来たんだ」
そういうと男性がソファーに座ったので
私も向かいのソファーに座った。
ニコニコと話す男性の次に田口先生が口を開いた
「白石さ。去年の文化祭のときに有志として弾き語りしてただろ?」
そうだった。
私は小さい頃から歌が好きでこの学校に入った理由の1つものも軽音部があるからだった。
機材が充実していて
全国の高校生が出場できる大会に何回も優勝している
ということを聞いたから
ここの高校に入りたいと強く思った。
だけど現実はそんなに甘くはなく
高校生になったと同時に突然
唯一の家族であった母がいなくなった。
今も行方がわからないまま。
なので今は祖父母の家にお邪魔しているのだが
そんな状況の中で部活なんてできるわけもなく
なるべく心配をかけないようにと
家事は全てやるようにしてる。