第6章 小石川健二郎のバレンタイン
小石川「……ん?タッパ??」
なぜか箱の中に可愛らしいタッパが入っていた。
「んだ!そのタッパん中にオラの気持ちがいっぺぇ入ってるだよ!」
小石川「……そうなん?」
とりあえずタッパの中を見てみると…
小石川「……こっ…これは!?」
「見たら分かるべよ!ハート型に切っだ、でーこん煮だっぺ!」
なんと中身はハート型にカットされた大根の煮物であった。
小石川「えっと…なんで大根の煮物なんや?」
「そりゃ今日がバレンタインとかいうハイカラな行事の日だがらだっぺよ!」
小石川「……バレンタインいったらチョコがスタンダードやで?」
「そんぐれぇ知ってるだよ!でもな?昨日、八百屋さ行ったらな白石ぐんみでぇな真っ白なでーこんさ大安売りしででな?こりゃ煮物作るしがねぇべと思っでよ?んで、せっかくだがらけんずろうさんに食ってほしぐでな?バレンタインもあっからハート型にしてチョコの代わりにしたんだっぺよ!」
小石川「そうなんやな…。」
「もしかして、けんずろうさん…チョコじゃねぇからガッカリしただか?」
涼子は悲しげな顔で小石川を見た。
小石川「んな事あらへんよ!涼子から貰ったら何でも嬉しいに決まっとるやろ?昼飯に食うわ!ホンマおおきに!」
「良かっただ!」
小石川健二郎、中学3年生。15年生きてきて初めてバレンタインに大根の煮物を貰ったのであった。
終