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【HQ】灰色の世界【R18】【腐向け】

第1章 ~色が生まれる世界~





ーお前らのせいだー

ー苦痛も全部ー

ークソ喰らえー


僕が詩を書いてから少し時間が経った
編曲を進めて、仙台のスタジオで収録し
月末の土曜日に実瑠の兄が経営しているライブハウスで
お披露目となった

ヒナがこの歌に命を与えるたびに
僕のなくなっていた感情の一部が沸き立ってく

そうか。僕はまだ


会場に入りいつも以上に真剣なまなざしのメンバー
甲斐沢先生はマスクをつけると本当に人格が変わったような目つきをする
ヒナも実瑠はどこか妖艶さがある

「 Transmitさん準備お願いしまーす」

「…はい」

ステージの明かりと暗がりと僕らの命の音が
響き、瞬く間に反響する

―お前らのせいだ   あの記憶もー

―何が正しくて誰が悪か―

僕の言葉がヒナの声で鮮明に輪郭を得る
そして仕舞いこんでいた感情を、怒りを、あの記憶を
喰らえ…喰らわせてやる…

お披露目は僕の思った以上にいい反応だった
いつもと違う曲色だったのがよかったみたいで
CDの売り上げもかなりよかった
ヒナはほくほく顔してハウスを出る

「なんか今日すごかったね!」

「兄貴もめっちゃびっくりしてたよ!いつもと曲の感じが違うー!とか珍しく興奮してた!」

「こういうのもいいですね!」

三人は楽しかったのか興奮気味に会話をしている
ふと自分の爪に目をやると黒いマニキュアの隙間から血が滲んでいるのが見える
今までベースを弾いて爪を割るなんてなったのに
手入れだって欠かしたこともない僕が
初めて爪を割った

「あれ?アヤどうした…って!爪割れてるじゃん!珍しい!」

「あ、私絆創膏持ってますよ!とりあえずこれで止血して帰ったら消毒してください!」

二人がせかせかと僕の爪を応急手当してくれる
ずっと気づかなかったということはそんなに
僕が集中してたことになるのか

「ありがとう、ヒナ…二人もありがとう。
みんなが支えてくれたから、この曲を作れたんだ」

みんなと目を合わせると急に抱き付いてきた

「ぅわわっ…」

「何言ってるの!この曲はアヤの気持ちなんだから!お礼を言うのはこっちだよ!」

「そうだよ!ほんとありがとう!アヤちゃん!」

「鹿瀬さんの気持ち、少しだけかもしれませんが晴れるといいなって私達も言ったじゃないですかぁ!!」

僕は少しだけ心が軽くなった気がした。
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