第1章 ~色が生まれる世界~
今日という日はいつもと同じ
放課後にならないと僕の大切な非日常は始まらないのだ
過ぎていく時間、変わらない授業風景
心のどこかで早く終われと願う
きっと傍から見れば僕はなんてことない一生徒だ
誰にも理解されない苦しみと怒りを煮やしてる以外は
普通の高校生である
授業中もその曲のことで頭がいっぱいになっていた
初めてヒナが僕のために書いた曲。
いい物には勿論したいし、ぶつけたい思いも沸騰するほどある
僕にできるだろうか
何もない時間が過ぎ去り
待ちわびていた部活の時間になる
自然と足が軽い。唯一、僕が心を許せる場所だから
部室に近づくと聞きなれた電子ピアノの音が聞こえる
近づくにつれて大きくなる音と、心当たりのある曲の進行
僕が預かってる楽譜の音と気づくまでに時間はかからなかった
部室の扉を開けるとほかのメンバー、電子ピアノの前にヒナが座ってる
「みんな、今日は早いね」
少し切らした息を整えみんなに声をかけると同時に振り返ってくれる
屈託のない笑顔を僕に向けてくれる
その笑顔にまた救われる
実瑠がいつものようにドラムステックを少し乱暴に振りながらにっこり笑う
「そりゃぁアヤちゃんよ!ヒナが作った曲に詩をつけるんでしょー??」
「まぁ、そうだけど…」
部室においてあるベースケースを開きチューニングをする
預かっていた楽譜を出しヒナの横に座り電子ピアノの音に合わせてコードをつないでいく
「アヤ、いいんだよ。いいものにしようとしなくていい。アヤの感情を出していい」
急に演奏を止めて僕のほうを見たヒナの目はいつも以上に真剣だった
迂闊だった。ヒナはそこまで考えてくれてるのだ
僕のことをよく知ってる
流石だよ。
ヒナの言葉に視界が少し歪みそうになっている僕に
甲斐沢先生がやさしく微笑んでくれる
「大丈夫ですよ鹿瀬さん。それを受け止めるのも、私達です!ぶつけてみましょう!」
ヒナは親指を立てて、実瑠は僕の脇腹に肘を入れてくるし
先生はいつも優しく笑ってる
僕の大事な場所で、仲間で。
僕をぶつけてみよう。
しあわせないちにちだった?