第2章 気になる先輩【ありさか】
突然だが、私には気になっている先輩がいる
二つ上のありさか先輩だ。
美人型と言われる逆卵型の綺麗な輪郭に収められた綺麗な黄色の瞳
無造作ではあるがボッサボサとまではいかない茶色い髪の毛
初めて出会ったのは入学してからしばらくたったある日だった。
今でも忘れられない出会い
入学して少ししか経っていない私は教室がわからなくて迷っていた。元来、私は方向音痴を持っていたらしく右に行けば知らない教室、左に行けば女の先輩と男の先輩が抱き合っている
あの時の気まずい空気は一生忘れないだろう
『ここどこ~~~』
半泣き状態でいつも一緒にいる友人の名を小さな声で零す
もうこの学校という名の迷路から出られないのか、と泣きそうになっていると後ろから声をかけられた
「大丈夫?」
くぐもったような低い声。今にも泣いてしまいそうな私からすればその声は救いでしかなかった
『実は、次の授業が移動なんですけど、生物教室がどこかわかんなくって...』
「あぁ、生物教室な~ここ割と教室多いけー最初は迷うよな~」
そう話しながらありさか先輩は私を生物教室まで送り届けてくれた。
生物教室に行く間にお互い簡単に自己紹介をし、心の中で何度もありさか先輩、と唱えて命の恩人の名を忘れないように自分に暗示をかけた
「ん、着いたで~んじゃ俺はここで。次からは気ぃ付けてな花子ちゃん」
にぱ
その効果音がピッタリだった。花が咲いたように笑った先輩に頬が紅潮した気がした
『あ、ありがとうございます!』
胸のドキドキを知られないように平然を装ったつもりだった。微妙に早口になったのは大目に見てほしい
笑顔で手を振りながら去っていく先輩の背中を見送った
「え、花子なんでそんな顔真っ赤なの」
『あ、あ、あいかちゃん!私好きな人できちゃった!』
「は??」
あいかちゃんのマジもんのは?頂きました。