第1章 プロローグ
「変だ。この山道は目的地まで曲がるところがなく真っ直ぐなはず…」
携帯の地図で検索をしたスピードスターは焦りの表情が出て来ます。
「運転手さん、お願いします。引き返してください」
「このままだと僕たち、迷って帰れなくなる気がしてなりません」
「あった、あった。似たようなことが」
「しっ」
人差し指を口の前に当て、ヴァルカナを静かにさせたこはるんです。
「でも、何か今回もヤバそうだよね。運転手さん、前回のバスツアーのときとちがう人なのに、どうなっているのよ今回も」
マイマイが両腕を組んで眉間にしわを寄せます。
「本当、またなのかしら…」
熱帯夜も不安そうな表情を浮かべます。
「まただったら、まただったらでいいんじゃないか」
「鳥安さん?」
こはるんは表面上笑顔ですが、怒りのようなオーラが表れていました。
「どうせまたなんだからいいだろう」
「ヴァルカナさん?」
「うっ…」
ヴァルカナに対しては本気で怒った顔をしたこはるんだったため、彼は固唾を飲み込んでいました。
とうとう、バスは停まってしまい、中でマイマイたちを除いたツアー参加者たちはパニックになってしまいます。